北海道の各地で12月1日、夜空を赤く染める「低緯度オーロラ」が観測された。極地よりも低い緯度で見られるオーロラで、気象条件のよかった地域では肉眼でも見ることができた。肉眼で観測できたのは2003年以来、20年ぶり。発生原因である太陽の活動はまだ活発で、今後も「出現」が期待できるという。
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道内で見られたのは、夜空を染めるように光る赤いオーロラ。一部では柱状に光り、時間とともに左右に移動する様子もとらえられた。
「低緯度オーロラが現れることは予測していたので、撮影の準備はしていました。でも、まさか肉眼で見えるとは思ってもみませんでした」
道東の陸別町にある「銀河の森天文台」の職員、村田拓也さんはそう語り、驚きを隠さない。
村上さんは、2003年10月にも肉眼で低緯度オーロラを目撃している。
「このときは、白っぽく光るのは見えたのですが、色はわかりませんでした。当時はフィルムカメラの時代でしたから、写真ができて、初めて赤い色を見ることができた。それに対して今回のオーロラは、淡いながらも目で赤い光が見えたんです。しかも、その光が動いているのもわかった。本当にすごいと感じました」
まさか肉眼で見えるとは
オーロラは、太陽の表面で起きた爆発現象(フレア)などによって放出された「太陽風」と呼ばれるプラズマ粒子が、2日ほどかけて地球まで到達し、上空の高度約90~600キロで大気とぶつかって発光する現象だ。
大規模なフレアが起こると、大量のプラズマ粒子によって地球の磁気圏が乱されて「磁気嵐」が発生する。すると、北海道のように普段はオーロラが見られない低緯度の地域でも、オーロラが観測されることがあるのだ。