太陽の活動が活発化していて、2025年にはもっとも活発な「極大期」を迎えるといいます。そこへ向かう時期に起こったのが、今年5月に観測されたオーロラです。オーロラ発生のしくみや、日本にもオーロラを出現させた太陽フレアについて、わかりやすく解説します。小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年8月号』(朝日新聞出版)からお届けします。
【図版】一目でわかる!オーロラができるしくみ今年5月に北海道、東北、北陸地方などでオーロラを観測
5月11日の夜、北海道、東北、北陸地方などで、オーロラが観測された。オーロラというと、夜空が緑や赤、紫色などに光り、レースのカーテンのように揺れ動くさまをイメージするかもしれない。こういうオーロラは、北極や南極に近い高緯度地域で発生する。これに対し、低緯度の日本で観測された今回のオーロラは、北の空がほのかに赤く発光する程度で、肉眼ではほとんど見えず、写真に撮って初めて確認できた。
オーロラを出現させたのは、太陽の表面に現れた「フレア」という爆発現象だ。太陽の表面を観測していると、黒点という暗い部分がいくつか見える。黒点の周辺にはエネルギーがたまっていて、このエネルギーが解き放たれるときにフレアという爆発が起こる。フレアはときどき起こるありふれた現象だが、5月8日から規模の大きなフレアが続けて起こった。その影響で、日本だけでなく中国、ヨーロッパ、北アメリカなどの低緯度地域でもオーロラが観測されたのだ。
「オーロラ」が発生するしくみと「太陽フレア」を解説
太陽は、光、電波、X線など(これらを電磁波という)を放っている。このほかに、太陽風と呼ばれる荷電粒子(電気を帯びた粒/※1)を放出している。
フレアが発生すると、その8分19秒後に光と同じ速度(秒速約30万㎞)でX線も地球に届く。大規模なフレアからは強いX線が発生し、その影響で無線通信ができなくなることがある。
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