彼女は、家がだんだん散らかっていると自分の心に余裕がなくなってしまうことはわかっていました。でも、本当の問題はそれだけではない気もしています。悩んでいたある日、家庭力アッププロジェクト®の存在を知りました。
「これだ!と思ったんです。当時はモノが多くて部屋がごちゃごちゃしていたので、片づけを通して私のモヤモヤも晴れると思って参加を決めました」
あまり散らかっていない家でも、彼女がずっと「いつか片づけないと」と気にかけていた場所があります。「いる・いらない」の判断を後回しにしたモノをなんでも放り込んでいた納戸です。
納戸を片づけていると、昔の同僚やお世話になった人からもらった手紙と写真が出てきました。そこに書かれていた「いつもあなたの笑顔に救われました」という言葉を見て、彼女はハッとしました。
「私、どんな顔をして笑っていたのか思い出せなかったんです。当時の写真を見ながら、鏡の前で同じ顔をしようとしてもできなくて、涙が止まらなくなって……」
娘と笑顔で写っている写真を、リビングに飾りました。すると、娘はその写真を見るなり、「そう!ママってこういうイメージだったよ!」と。彼女は、この頃の笑顔を取り戻そうと誓いました。
さらに、片づけのおかげで自分のイライラの原因が判明します。
プロジェクトでは、自分の片づけたい気持ちを家族に強要しないということを学びます。同じ家を使う家族であっても、片づけに関して同じ気持ちだとは限りません。家族の気持ちを尊重することの大切さを感じたとき、彼女は気づきました。
「片づけ始めたら、私はずっと娘をコントロールしようとしていたんだとわかりました。『こうしたらいいのに』『なんでこうしてくれないの』と、娘に求める気持ちが強かったんです」
娘には娘の気持ちがある。自分がコントロールしようとしてはいけない。このことに気づくと、彼女の心は軽くなっていきました。
そして、娘にリビングはどんな空間にしたいのか尋ねると、「ママと一緒にテレビを見ながら、おやつパーティーをしたい」という答えが返ってきました。