AERA 2023年12月11日号より

 本来、会社員か公務員の配偶者の扶養家族となっている主婦(主夫)は「第3号被保険者」とみなされ、社会保険料の負担が発生しない。第3号被保険者とは、(1)20歳以上60歳未満で、厚生年金保険加入者の配偶者、(2)日本国内に在住、(3)第2号被保険者の収入で生計を維持(パート年収130万円未満)──といった条件をすべて満たす人だった。これが22年10月からは「第3号被保険者であっても、一定の条件に該当すると社会保険への加入が義務づけられる」ことになった。次の条件をすべて満たす場合が対象だ。

・労働時間が週20時間以上

・賃金が月額8万8千円(年間で約106万円)以上

・雇用期間2カ月超の見込み

・学生ではない

・勤務先の従業員数100人超

 五つ目の「130万円の壁」は、昔からおなじみ。年収がこの水準を突破すると配偶者の扶養から外されてしまう。結果、パート先の社会保険か、国民年金・国民健康保険のどちらかに加入して保険料を払うことに。

 より多くの人にもっと働いてほしいと考えている政府は、23年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」なる施策を打ち出した。106万円の壁と130万円の壁に対応する施策がそれぞれ一つずつ用意されている。

 パッケージの中の「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は106万円の壁向け。労働者が新たに社会保険に加入した際に労働者の収入を増やした事業主に対し、労働者1人あたり最大50万円を助成するという。

「社会保険料負担による手取りの減少を抑えるため、賃金の15%以上に相当する手当(最大50万円)を支給する制度です。1〜2年目に20万円、3年目は18%の賃上げ実施を前提に10万円を雇用側に支給する仕組み。ただ、手続きも煩雑なうえ、標準報酬月額が10万4千円以下の従業員しか対象になりません」

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