阪神優勝で感極まる元エースの川尻哲郎さん(右)と妻の陽子さん(撮影/上田耕司)

阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」が23日、神戸・三宮と大阪・御堂筋で開催される。阪神優勝が、チームやファン、関係者にもたらしたものに迫った。(この記事は、9月15日に配信した記事の再掲載です。年齢、肩書等は当時)

*  *  *

 18年ぶりの阪神タイガースのセ・リーグ優勝で沸いた14日。なかでも、ひときわ熱気を放つ店が東京・新橋にあった。阪神の元エース・川尻哲郎さんが経営する居酒屋「タイガースタジアム」だ。

 試合開始後の18時半ごろに店内に入ると、すでに満席。記者は立ち見で取材したが、ファンたちの熱気で空気が薄く感じるほどだった。

 阪神が得点するたびに店内からは大きな歓声が上がる。4点目を追加した7回裏には、黄色の風船が一斉に飛び交った。

 いよいよ9回に入ると、あと3人、2人、1人とカウントダウンが始まった。途中で膨らませ過ぎた風船が暴発する音がするハプニングがありながらも、「アレ」の瞬間に向けて店内のボルテージが一気に高まっていく。

 そして、9回裏。2アウトから巨人・北村をセカンドフライに打ち取った瞬間、歓喜の瞬間が訪れた。

 白い風船が宙を飛び交うなか、川尻さんのもとに妻・陽子さんが駆け寄り、2人はがっしりと抱き合った。陽子さんは目に涙を浮かべ、哲郎さんの胸に頭をつけて号泣。哲郎さんも泣いている。夫婦で3年間、店を切り盛りしてきて、夢に見た瞬間だった。

 哲郎さんはこう話す。

「このお店を開いて、これだけみんなが喜んでくれて、この日を迎えられてよかった。本当にうれしいです」

 日本シリーズ優勝に向けては、

「クライマックスシリーズ(CS)は油断はできないけど、(阪神が)有利だと思います。日本シリーズはオリックスが相手なら、投手陣が強いので接戦になると思うけど、日本一を狙ってほしいですね」

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ