ヴァレンタインが人気になったのは、毎年2月14日頃から鳥たちがつがいをつくり始めるという伝説が中世にあり、たまたま2月14日に殉教したヴァレンタインが「愛の守護聖人」と見なされるようになったからです。やがて、聖ヴァレンタインの日(セイント・ヴァレンタインズ・デイ)に恋人たちがカードや贈り物を交わす習慣が19世紀のアメリカで自然発生的に生まれ、これを利用した製菓業界の戦略により、20世紀後半の日本では「女性が好きな男性にチョコレートを贈る日」という、聖ヴァレンタインとはなんの関係もないブームが一時的に流行しました。ですが、次第にチョコの強要がハラスメントと見なされるようになり、現在ではすっかり下火になっています。
なお、20世紀後半のカトリック教会の改革で、実在が疑問視される聖人の祝日は取り消され、聖ヴァレンタインも祝日が取り消されてしまった聖人のひとりです。その意味でも、バレンタインデーは、聖人とはなんの関係もない一時の狂騒でした。