ニコラウスは、そのほかにも人助けを多く行い、のちに聖人と認定され、聖ニコラウスとなりました。この聖ニコラウスのオランダ名が「シント・クラウス」で、それを英語読みした「セイント・クローズ(サンタクロース)」の伝説がオランダからアメリカ大陸に渡った移民によって伝わり、やがて世界一人気のある聖人となりました。この「セイント」は「セント」「サン」「サンタ」とも表記されます。つまり、日本でもよく知られた「サンタ」「サンタさん」は、「聖人」「聖人さん」という意味なのです。サンタクロースはノン・クリスチャンからも広く愛される、まさに聖人の代名詞です。そんな彼は高潔なだけの人物ではなく、大事な会議の最中にキレすぎて投獄されたという人間臭い逸話も残されています。
キリスト教の祝日として、クリスマスと並んで日本人のあいだでも広く知られているのはバレンタインデーでしょう。この祝日の元になったヴァレンタイン(ウァレンティヌスとも表記されます)というイタリア人司祭はふたりいて、どちらも3世紀のローマ帝国によるキリスト教弾圧で2月14日に殉教しました。同名の司祭が同日に殉教したというのはできすぎた偶然なので、ひとりの逸話がふたりの話に誤認されたと考えられています。ヴァレンタインには特筆すべき逸話はなく、当時のクリスチャンの典型例で、ローマ帝国によるキリスト教弾圧下でも信仰を貫いたために処刑されました。