えりアルフィヤさん
えりアルフィヤさん

 今回が政界初挑戦となる大沢氏に対し、相手は5期20年、区議、都議を合わせると50年の政治キャリアを持つ。

「正直、政治力ではかなうわけはないですが、花川氏が作り上げてきた北区をさらに素晴らしくする自信はあります。大沢という新風を北区に入れたい。負け戦をするつもりはないです」

■【衆院千葉5区補選】ウイグルのルーツに誇り7カ国語を操る国際派

「優しい社会を目指したいというテーマを掲げて政治活動をしたいと思っています」

 こう語るのは、衆院千葉5区補選に自民党公認で出馬する新人・えりアルフィヤさんだ。1988年、福岡県北九州市生まれ。両親は中国の新疆ウイグル自治区出身で、99年に家族で日本国籍を取得した。同年、父親の転勤に伴い10歳からは中国で育つ。米国ジョージタウン大学外交政策大学院修了後、日本銀行や国連でキャリアを積んだ。7カ国語を操る国際派だ。

 えりさんが政治を意識するようになったのは、東アジアの安全保障関係の激変にある。

「米国の国防族だけでなく、リベラルなアカデミックな方々も東アジアの安全保障関係は危ないと言いだした。本当に国際情勢の転機だと思います。民主主義対権威主義、この構造がすごく緊迫化している。自分は公共政策のキャリアを持っているので、米国と日本の橋渡しになれるのではないかと思いました」

 公募に応じた72人の中から勝ち抜いて党千葉5区支部長となった。政策は改憲論者の保守そのもの。尊敬する政治家は安倍晋三元首相だという。森山裕選対委員長も、「自民党の女性活躍の最先端の人」と絶賛する。

 SNSを駆使して選挙活動を展開中だが、ネット上では「帰化1世を公認する自民党は国賊だ」などと、心ない誹謗中傷を浴びることもある。「ネットに書き込まれる議論のクオリティーにウッと感じるところもある」と本音も漏らす。

「生まれが北九州なので、自分を日本人としか思ったことはなく、日本人として海外でも経験を積んできました。その上で、ウイグルにルーツを持っていることも非常に特別なことで、誇りを持っています。ルーツを大事にしつつ、日本の政治家として頑張っていきたい」

 初当選を目指し、分刻みのスケジュールで走り回る毎日だ。(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2023年4月7日号より抜粋