西尾典文
全国各地で行われていた高校野球の秋季大会も終わり、残すは秋の日本一を目指す明治神宮大会のみとなった。ドラフト候補という観点からすると、1年時から活躍していた前田悠伍（大阪桐蔭→ソフトバンク1位）や佐々木麟太郎（花巻東・プロ志望届を提出せずアメリカの大学へ進学予定）などがいた昨年と比べると全国的な知名度が高い選手は少なく、誰が目玉になるかはまだまだ流動的である。そんな中でこの秋に浮上してきた有力候補をピックアップして紹介する。
【写真】イチローだけじゃない！MLBの年金額「満額支給」の日本人選手がこちら（ほか3人）
＊ ＊ ＊
まず投手でこの秋に150キロを超えるスピードをマークして注目を集めたのが小船翼（知徳）と川勝空人（生光学園）の2人だ。小船は197cm、108kgという日本人離れした体格で入学時から話題となっており、ここまで順調なスケールアップを果たしている。テイクバックで少し右肩の下がりが大きく、無駄な動きが目立つフォームだが、それでもリリースの感覚が良く、コントロールも決して悪くない。マウンドからホームベースが他の投手と比べても明らかに近く見え、スライダー、フォークと決め球となる変化球も操る。スケールの大きさでは大学生、社会人も含めてナンバーワンと言える存在だ。
一方の川勝も身長は180cmと投手としては特別大柄ではないが、たくましい体格を生かしたパワーピッチングが持ち味。小船が中盤以降は大きくスピードが落ちるのとは対照的に、1回から9回まで140キロ台後半のスピードを持続できるスタミナが大きな魅力だ。フォームはまだまだ粗さが残り、突如ボールが続く不安定さはあるものの、ボールの力だけであれば2年秋の時点では歴代でも上位と言える。
秋にアピールした投手としては洗平比呂（八戸学院光星）、関浩一郎、桜田朔（いずれも青森山田）、小林芯汰（常総学院）、小川哲平（作新学院）、昆野太晴（白鴎大足利）、冨士大和（大宮東）、山浦一心（浦和学院）、坂井遼（関東一）、西山恒誠（近江）、平嶋桂知（大阪桐蔭）、高木大稀（履正社）、今朝丸裕喜（報徳学園）、高尾響（広陵）、吉岡暖（阿南光）、平悠真（高知）などの名前が挙がる。関、桜田、小川、坂井、平嶋、高尾、平の7人は明治神宮大会にも出場予定となっている。
西尾典文
西尾典文／1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも毎日記事を配信中。
西尾典文の記事一覧はこちら
ラリー遠田
東浩紀
鴻上尚史
