長尾 それはすごいことだと思います。在宅医療の意義を数値化して、救急医療を崩壊から守る実績を作ったということですからね。

佐々木 一方で、患者満足度の評価については、在宅医療に対するニーズは患者さんによってさまざまです。病気をとことん治す努力をしたい人もいれば、医療行為はなるべくせず自然に過ごしたい人もいて、その患者さんのニーズに合った医療が提供できているかが重要な指標となります。当会ではそれを図るために「診療満足度調査」を実施しています。患者さんと、診療に関わるケアマネジャー、訪問看護師、地域包括支援センターや高齢者施設のスタッフなどに定期的にアンケート調査を実施し、コミュニケーション能力や身だしなみ、診察時間、医療的な対応など、具体的な質問項目をたてて医師の評価をおこない、結果をフィードバックしています。

 もちろん私自身もチェックされています。私も含め、多くの医師は自分の診療に自信を持っていますから、きっと良い結果だろうとワクワクして見るのですが、意外とそうでもないこともあって(笑)。でも、よくないところがわかれば、改善すべき点がわかりますし、それぞれの先生方の良さや個性がわかる利点もあります。

長尾和宏医師が監修した週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2024年版 在宅医療ガイド』

長尾 質の評価はとても難しいといわれていて、学会でもつねに話題に上がりますが、悠翔会のシステムはとても画期的ですね。そのシステムを一般化して地域や日本全体で活用すれば、在宅医療の質や信頼度の向上につながるのではと思います。また、悠翔会では医療や介護に関わる多職種のための学びの場、「在宅医療カレッジ」も実施していますね。

佐々木 在宅医療は多職種協働が基本です。連携促進のためにも各専門職の役割や他職種領域について学ぶことが重要と考え、それぞれの領域のトップランナーを招き、セミナーを開催してきました。コロナ禍で一時中断しましたが、その後はオンラインと対面でのハイブリッドで開催しています。

(構成/出村真理子)

※週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2024年版 在宅医療ガイド』より

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