芸能界には染まりたくなかった
思春期の繊細な心は、「多忙さ」だけでなく、「行き場のない孤独」によってもむしばまれていたと、奥菜は振り返る。
“まわりの大人から、「女優だったらあれはダメ、これもしちゃいけない」って言われるけど、「え、なんで?」っていう疑問が常にありました。手が荒れるからなのか、「料理をするな、火も使うな」とか。たしかに、この世界に生きる者としてはそうなのかもしれないけど、その前に私は一人の人間でもあるし……というような葛藤を抱えて、もがいていました。芸能界には染まりたくなかったし、もうやめたいと思ったことも何度もあります。”
そしてもう一つ、奥菜の心をチクチクと痛めつけていたのが、「清純派」そして「魔性」といった、世間が押しつける“自己像”だった。
※【後編】<奥菜恵が明かした「3回目の結婚をした理由」と「シングルマザーを支援したい」という将来の夢>に続く
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)