ウォーキングには体にいいエビデンスが数多ある。健康の秋、運動に苦手意識がある人も、忙しくて時間が取れない人も、「歩くこと」から始めてみては。 AERA 2023年11月13日号より。
【図表】「朝散歩のメリットと方法」「夕・夜散歩のメリットと注意点」はこちら
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池袋大谷クリニック院長の大谷義夫医師がウォーキングを始めたのは、2021年9月のことだ。コロナ禍で、呼吸器専門医である大谷医師のもとには患者が殺到した。一日中仕事に追われ、通っていたジムを諦めた。体重は増加し、消去法で選んだのがウォーキングだった。1カ月ほどで体重が元通りになり、太りにくくなった。
「私は論文マニア。ウォーキングの良さを痛感する一方で、科学論文を読み漁りました。すると『ランセット』のような権威ある学術誌にまで、ウォーキングにまつわるエビデンスが多数紹介されていたのです」
がん予防、高血圧・糖尿病改善、心筋梗塞・脳卒中予防、うつリスク低下、睡眠の質向上……。挙げればキリがない。
「最も驚いたのは、創造性を豊かにすることを示したスタンフォード大学からの研究発表です。Appleの共同創業者である故スティーブ・ジョブズ氏、Meta(元Facebook)創業者のマーク・ザッカーバーグ氏がウォーキング会議を開いていたことはよく知られていますが、至極納得がいきました」
こだわりすぎず歩く
忙しい平日の基本は次の二つだ。
・スクラブ(診療着)でも革靴でもいい
・食べたら、歩く
「継続するには、こだわりすぎないこと。いつでもどこでもできる点がウォーキングの真骨頂です。平日は隙間時間に10分でいいので歩く。さらに食前ではなく食後に歩くことで、血糖値が上がりにくくなる。脂肪も蓄積せず、好きなケーキを毎日食べても太らない体になるのです」
年を取れば病気になるリスクも増える。健康寿命を保つために取り入れたいのが、「インターバル速歩」だ。信州大学医学部の能勢博特任教授が20年以上前に考案した。