取材・撮影は2023年初頭。エジンバラ公フィリップ王配を精霊として信仰する村など、村によって伝承と信仰が異なっていた。/(c)KENJI SATO
取材・撮影は2023年初頭。エジンバラ公フィリップ王配を精霊として信仰する村など、村によって伝承と信仰が異なっていた。/(c)KENJI SATO

精霊か人かわからない存在を、伝承と歴史から紐解く旅

 もともとはジョン・フラムを祀るお祭りの撮影だけで十分だと思っていました。それが実際に行ってみたら、彼らの信仰が想像よりもはるかに本気で、決して伝統芸能的に続けているものではなかった。ジョン・フラムという精霊は「伝統生活を守って暮らしていれば、いつかアメリカから私が多量の物資を持って戻ってくる」という事を人々に預言したんですが、彼らは今もその教えを強く信じていたんです。これが数百年前の預言者の話ならそれ以上追求しようのない神話になる。ただそもそもジョン・フラムが現れたのは20世紀半ばで、何なら目撃者さえ存命していたんですよ。

 そういう話をたくさん聞いているうちにジョン・フラムの正体が気になり始めて、いろんな村で話を聞いたり撮影したんですが、村によって話が違いすぎて、聞けば聞くほどわけがわからなくなりました。さらに違う村ではフィリップ王配(エリザベス女王2世の夫)を精霊の王として祀っている村もでてきたりして、最後はもう撮影に来ているのか、謎解きに来ているのか自分でもよくわからなくなりました(笑)。今回お世話になった人はバヌアツ在住16年のベテランの方なんですが、彼をしてもこれだけカーゴ・カルトについて深く取材したことは過去前例がなかったとは話していましたね。

――そのなかで新たな発見があったということですが、謎が解けたということでしょうか。

 自分なりの結論はある程度ありますが、そこは詳しくは本を見ていただければと思います(笑)。

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