ハンドブックに書かれたこと

 あいの会が2次被害の実態を金融庁に訴えたことで、日本損害保険協会は昨年12月、被害者側の心情に配慮した交渉を求めるハンドブックをつくり、会員企業に配った。

 協会の担当者は、対応に至った経緯について、こう話す。

「被害者やご家族のお気持ちに寄り添って交渉しなければならない認識は以前からありましたが、あいの会さんのご示唆によって、その認識が不十分だったと気づかされました。2次被害が起きる原因については、担当者のスキル不足なのか、交渉が熱を帯びた結果なのか、これという原因は特定できませんが、契約弁護士の管理を含めて一度襟を正そうということで、指針をまとめました」

 ハンドブックには、「訴訟の準備書面等は、複数の担当者で被害者やご家族の尊厳を傷つける内容となっていないか確認する」「弁護士の言動に苦情があり、改善が見込まれない場合は、今後の委託見合わせも視野に入れた対話が必要」といった旨が示されている。

 協会によると、ハンドブックをもとに自主的に社内勉強会を開いたり、委託弁護士にも内容の共有・指示をしたりした損保会社もあるという。

 だが、交通事故被害者専門の「弁護士法人サリュ」の谷清司弁護士は、「損保は相変わらず、心ない主張を繰り広げている」と話す。谷氏はかつて損保の顧問弁護士を務めた経験があるが、「被害者を丸め込むような仕事はしたくない」と見切りをつけ、03年に現事務所を立ち上げた経緯がある。

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「保険には、闇の部分がある」