世襲議員の増殖が、自民党の活力低下の要因のひとつであることは間違いないのではないか。

 自民党衆院議員の世襲比率は3~4割で推移している。1996年に小選挙区制になって、世襲議員がより増えた。小選挙区は小さな王国だ。そこですでに出来上がっている組織を引き継ぎ、知名度があって、資金力もあれば選挙は強い。地盤、看板、カバンの「3バン」が揃っている世襲議員は、初出馬の時点から下駄を履かせてもらっている。

 小選挙区制の導入以降、自民党議員の首相は9人いるが、世襲じゃないのは菅義偉前首相、ただ1人だけである(森喜朗氏は父が町長、祖父が村長で「地盤」が重なっているため、広義の世襲に含めた)。世論調査などで「次の首相」として名前が挙がるような次世代のメンメンも、河野太郎小泉進次郎、小渕優子、福田達夫など世襲議員が多い。

 2021年の衆院選公示直前の日経新聞(2021年10月17日付)の記事によれば、小選挙区制導入以降の8回の衆院選で、延べ8803人が小選挙区に出馬し、うち13%が世襲の候補者だ。驚くのは、世襲候補の比例復活を含めたその勝率の高さである。実に8割に達する。非世襲候補の勝率は3割だ。世襲候補は7割が自民党から出馬しているという。

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特権階級の政治が延々と続く