G7各国との比較でも日本の世襲比率はズバ抜けて高く、他は1割以下だという。

 銀のスプーンをくわえて生まれてきたようなボンボン政治家に、年金削減や物価高に苦しむ庶民の実態が理解できるのだろうか。

 非正規雇用で給料は自分が生活するだけで精一杯。借りた奨学金を何十年もかけて返済しなければならない。子どもをもうけるどころか、結婚したくても結婚できない。若年世代のそんな苦しみも世襲議員には無縁だ。

 世襲候補を簡単に当選させてしまう有権者の側にも問題はあるが、これでは庶民感覚と乖離した特権階級の政治が延々と続く。当選回数を重ねる世襲議員が力を持つから、非世襲議員の発言力や影響力は低下し、自民党内は右へ倣えだ。自民党政権は安泰だろうが、日本の政治はますます劣化する。

 そんな自民党だが、党改革の一環で「反世襲」を打ち出したことがあった。09年に民主党に政権を奪われる直前のことだ。民主党が先手を打って、「現職の3親等以内の親族が同一選挙区から引き続いて立候補することを禁止する」という「世襲制限」を掲げたことに対抗する形で、自民党も公約に「世襲制限」を盛り込むことになったのだ。言い出しっぺは当時の菅義偉選対副委員長だった。党内が上を下への大騒ぎになり、麻生太郎首相ら世襲の幹部らは憎まれ口をたたいたものだ。結局、09年総選挙には適用させず、「その次の選挙から」でお茶を濁した。

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閣僚の4割を世襲議員が占めた