岸田文雄首相の長男・翔太郎氏が首相公邸で忘年会を開催、岸信夫元衆議院の長男・信千世氏がホームページで家系図を掲載するなど、世襲への批判が高まっている。小塚かおる・日刊現代第一編集局長は、「世襲議員の増殖が、自民党の活力低下の要因のひとつであることは間違いない」と断言する。朝日新書『安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ 「強権政治」との10年戦争』から一部を抜粋、再編集して解説する。(肩書は原則として当時のもの)
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最近、自民党の閣僚経験者と会食した際、「息子が政治家を目指している」という話を聞かされた。その議員は地方議員出身のたたき上げだ。苦労して国会議員になり、当選を重ねている。誰にでも職業選択の自由はあり、それは憲法で保障されている。ただ、思わず声に出して言ってしまった。
「政治家になるのはいいですが、世襲はダメです。地盤を引き継いではダメですよ。別の選挙区からの出馬を考えてはどうですか。有権者は世襲議員ばかりが増えていくことに辟易しています」
ちょうど直前にあった衆議院の補欠選挙で、安倍晋三氏の甥で岸信夫元衆院議員の長男である岸信千世氏が世襲批判を浴び、当初の圧勝予想に反して辛勝だったことも念頭にあった。