今年9月、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんを関与させられ、自死した近畿財務局の赤木俊夫さんの妻・雅子さんが、元理財局長の佐川宣寿氏に賠償を求めた訴訟は、佐川氏らへの尋問を認めず結審した。小塚かおる・日刊現代第一編集局長が、俊夫さんの苦悩と雅子さんの無念を綴る。朝日新書『安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ 「強権政治」との10年戦争』から一部を抜粋、再編集して紹介する。(肩書は原則として当時のもの)
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銃撃の2日後、赤木雅子さんとの電話
「亡くなる前日に、安倍さんに会って手紙を渡したんです」
赤木雅子さんから連絡をもらったのは、安倍晋三氏が銃撃された2日後だった。
雅子さんは、森友学園問題で財務省の上層部から指示された公文書改ざんに苦しみ、自ら命を絶った近畿財務局職員、赤木俊夫さん(享年54)の妻。取材を通じて私は交流がある。
雅子さんとは銃撃当日の夜にも電話で話していた。突然のことで、衝撃は大きかった。
「こんなことが起きるなんて」と少し動揺した様子で、2、3分短く会話して終わっていた。
2日後は別件で連絡をもらい、その会話の流れで、「安倍さんに会った」という話を聞いた。その日の電話口の雅子さんは落ち着いていた。