今季さらなる飛躍が期待されるチャ・ジュンファン

 チャ・ジュンファンは、韓国男子のエースとして歴史を作り続けてきたスケーターだ。

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 ジュンファンは16歳の時、母国開催の2018年平昌五輪に出場している(結果は15位)。当時から踊り心やスター性は際立っており、加えてジャンプやスケーティングにも磨きをかけて次の五輪シーズンを迎え、2022年四大陸選手権で優勝。韓国男子として初の快挙を成し遂げた翌月に臨んだ北京五輪では、5位という好成績を残した。そしてさいたまスーパーアリーナで行われた昨季の世界選手権では銀メダルを獲得、韓国男子として初めて世界選手権の表彰台に立っている。

 リンクを離れると物腰柔らかい好青年であるジュンファンは、昨季世界選手権のメダリスト会見で喜びを語った。前回の2022年世界選手権はスケート靴の金具が壊れたため棄権(ショート17位、フリーは滑れず)しており、今回の世界選手権も出発直前にスケート靴が壊れて違う靴で臨んだことを明かしている。過去の経験を生かして乗り切ったと振り返り、「ようやく実力を示せたと思います」と嬉しそうだった。

 フィギュアスケートを始める前にバレエを習っていたというジュンファンは、優雅な所作を生かしたクラシックなプログラムを滑る印象が強かった。しかし、世界的に有名な振付師のシェイ=リーン・ボーン氏が手がけた昨季のプログラムでは、イメージを刷新。ショート『マイケル・ジャクソンメドレー』では滑らかな滑りの中にムーンウォークを織り込むスタイリッシュな演技をみせ、映画『007』の曲を使うフリーでは強い目線でクールな魅力を発揮している。新たな表現を追求した勇気が、世界選手権の銀メダルをもたらしたともいえる。

 子役として芸能界で活動した経験もあるジュンファンは、昨年末には韓国の音楽番組に登場し、ダンスを披露している。BTSの『Black Swan』を共に踊ったENHYPEN(エンハイフン)のSUNGHOON(ソンフン)はジュンファンと同じ時期にジュニアスケーターとして活躍していた経歴があり、親交があるという。また抜群のスタイルと甘いマスクを生かし、ファッション誌でハイブランドを堂々と着こなす姿にはモデル顔負けの華やかさがある。

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今季もチャ・ジュンファンの演技に注目