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※写真はイメージです(Getty Images)

 実はスマホゲームは、子どもや大人の脳に良い影響を及ぼすことが分かっている。コミュニケーション能力や、認知能力、問題解決能力を高めることが科学的に示されていると説くのは、スタンフォード・オンラインハイスクール校長、星友啓氏だ。星氏の新著『脳を活かすスマホ術――スタンフォード哲学博士が教える知的活用法』(朝日新書)から一部抜粋、再編集し、子どもの成長する気持ちを育むゲームの効果について紹介する。

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ゲームが育てる成長マインドセット

 ゲームには、大きな利点があります。

 それは今できないことでも「やればできる」と思える「成長マインドセット」をアップさせること。「成長マインドセット」とは、自分の知性や能力が常に成長しうると考える心構えのことです。例えば、「今日はできないけれど、努力すればできるようになる」というのは、成長マインドセットを持つ人の考え方です。

 このコンセプトは、スタンフォード大学の教育学教授であるキャロル・ドゥエックのミリオンセラーとなった著書『マインドセット「やればできる!」の研究』(草思社)で一気に世に知られるところとなりました。

 これまでの研究の蓄積で、成長マインドセットを持っている人は、新しいことに挑戦し、苦境にも忍耐強いことがわかっています。周りからの批判や自分のミスから学びを効果的に得ることができ、勉強の成績や仕事のパフォーマンスが高いなど、さまざまなポジティブな側面が明らかになってきています。

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星友啓

星友啓

星 友啓(ほし・ともひろ) 1977年、東京生まれ。スタンフォード・オンラインハイスクール校長。哲学博士。Education; EdTechコンサルタント。2001年、東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。02年より渡米、03年、テキサスA&M大学哲学修士修了。08年、スタンフォード大学哲学博士修了後、同大学哲学部講師として論理学で教􄽃をとりながら、スタンフォード・オンラインハイスクールスタートアッププロジェクトに参加。16年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて、教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。

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