それに加えて、組織としてハラスメントを防ぐ・対処する態勢がまだ整備されていません。「ハラスメントで困っています」と声をあげても、相談窓口や担当責任者など、それを受けとめる受け皿がないのです。ハラスメントの問題は、一人で解決することは不可能であるにもかかわらず、です。
「だれも加害者にしない/被害者にならない」ために
私は、ハラスメントをなくすには、「だれも加害者にしないし、私も被害者にならない」という確固たる姿勢が不可欠だと思います。その姿勢を崩さないために、ハラスメントについて介護職員の研修を行う、サービス利用者との契約書にハラスメントについての項目をわかりやすく明記する、担当職員のコミュニケーション能力を高めるなどの対策を推し進めます。
このように基盤をしっかりつくり、そのうえでサービス利用者からハラスメント行為を受けたら、「それは不愉快です」「それは怖いですからやめてもらえますか」と言えるような現場にすることです。
共に学んで共に考える態勢を
介護の現場のハラスメント対策は、まだ途上にあります。ハラスメントが改善されなければ、介護職をやめる職員が増えて現場は人手不足に陥り、介護保険制度そのものが揺らぐような事態に陥るでしょう。
もしあなたがパワハラとなりそうな行為をしてしまい、介護スタッフからの説明があったら、「パワハラになるなんて知りませんでした。次から改めます」「これはどうですか、パワハラに当たりますか?」など、いっしょに考えていく場にしてほしいと思います。介護は、サービスを受ける親に快適な生活を送ってもらうために、家族、介護スタッフがチームとなって、つくりあげていくもの。ハラスメントについても、共に学んで、双方が気持ちよく、ベストな介護を実現できるようにしたいものです。
(構成/別所 文)