涙ぐましい努力をしたけれど
なんと、「最澄」は主人のことが、“大嫌い”だったのです。なぜそこまで?というほどに。 主人がいじめたとか大声を出したとか、何か特別なことをしたわけではありません。でも、主人の姿を見ると逃げるのです。うっかり目が合うと恐怖からなのか、かちかちに固まる。主人は体格がよく声も低いから、怖く感じたのかもしれませんが……。
私が「最澄」と呼ぶと甘えた声で愛らしく「にゃ~」と返事するのに、主人が呼ぶとキレ気味に「んがあ~」と鳴く。それで、主人は初めのうち、あえて目を合わせないようにしたり、「さいちゃ~ん」と、私も聞いたことがないような高い声色で呼んだりしていました(笑)。
それでも効果が出ず、主人は“猫と仲良くなる方法“を調べ、トイレを一生懸命掃除したり、おやつもよくあげていました。けれど「最澄」は大好きなウエットのおやつですら、(主人が怖いせいか)、“3舐め”で辞める。そうやって主人が四苦八苦していると、「もういいから僕をかまってよ~」という感じで「空海」が主人にすり寄ってくる……。
結局そのまま、1年半が経った感じです。「空海」が主人にべったり、「最澄」は私にべったりで、バランスはうまく取れているのかもしれません。
いつか猫が変わる日を夢見て
「空海」と「最澄」を迎えてから、私たちの生活は変わりました。
お互い結婚したのが遅く、仕事もシフト制なこともあり、(結婚後も)一人の時間はそれぞれが好きなことをしていました。夫は筋トレが好きでよくジムに行っていたのですが、今は「空海」と遊ぶ時間がかなり増えています(笑)。
ふたりで出かけても、ペットショップで猫のおもちゃを見ることが多いし、前のように旅行にもいってません。自然とインドア派になり、夫婦で一緒にキャットタワーも作りました。
私が猫と暮らすのは2、3年ぶりだったのですが、いてくれるだけで癒されるんですね。仕事で疲れたり、いやなことがあって帰ってきても、そんなこと関係なく甘えてきてくれるので、「家に猫がいてくれてよかったな」と、あらためて思います。
今はクイーンサイズの大きなベッドで、みんなで川の字に寝ています。主人の枕もとには「空海」の猫ベッド、私の枕もとには「最澄」の猫ベッド。もちろん主人は「犬が飼いたい」とはもう言いません。「空海」と遊んでいる時なんて、本当に幸せそうですからね……。
ただ、願わくば、せめてあと少し、ほんの少しでいいから、「最澄」が主人に歩み寄ってくれるといいなと(笑)。まだ猫は若いし、一緒の生活は始まったばかり。そのうち、我が家の「最澄」も悟りを開いて変わるかもしれません! それを密かに夢見ています。