みこさんとご主人の愛猫、空海(左)と最澄

 飼い主さんの目線でのストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回は東京都在住、40代の医療従事者みこさんの話です。高校生の頃から猫を飼ってきたみこさんは、結婚後に猫との暮らしを夢見ますが、夫は断然犬派。そんな夫が、猫らしくない猫と会ってメロメロに。でも2匹目の猫との関係には苦労して……。愉快な猫との生活についてお聞きしました。

【メロメロになるのはいつ?!】ご主人の前でカチコチに固まる最澄

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 我が家では毎朝4時半頃、夜明けとともに猫のプロレスが始まります。ベッドでドタバタ、一緒に寝ている私のお腹にもどすーんと落ちてくる。

 闘っているのはキジ白の「空海」(推定2歳半)と黒猫の「最澄」(推定1歳半)です。体の大きな「空海」の方が強いのですが、「最澄」もあきらめません。だいたい年上の「空海」が「はいはい」という感じで折れてニャンプロが終わるのですが、雄同士なので、激しいのなんの。とはいえ、猫との今の暮らしが面白くて仕方ありません。夫も楽しそう。でも、実はこの暮らし、想像を超えるものでもあったのです……。

2にゃんはニャンプロが大好き!

犬につけるはずの僧侶の名

 私は3年前に結婚したのですが、付き合っている時から主人に「籍を入れて戸建を買ったら猫を飼いたい」と言っていました。高校生の頃に猫を拾って以来、猫と一緒でした。大学生の時に大家さんに2匹譲ってもらい、社会人になってから職場にいた猫を引き取り、3匹と暮らしました。結婚前にみな旅立ったのですが、またいつか飼いたいと思っていたのです。

 一方、主人は実家で犬を飼っていたこともあり、「大型犬がほしい」といい、「犬にかっこよくて強くて賢そうな名を付ける」といい、「空海」と「最澄」という2大教祖の名前まで考えていたのでした(笑)。

 それがなぜ今に至るかというと……家を購入する前から私は保護猫サイトを見ていたのですが、新居に引っ越してから、気になるキジ白猫を見つけました。それが「空海」です。

「サイトで見るのと実際に見て触れるのは違うし、他にも猫ちゃんがいるようだから、一回行ってみよう」といって夫を誘い、2021年6月に団体のシェルターを訪ねました。 

幼い頃の空海。犬につけるはずだった名前をもらいました

 私はいろいろな猫を見ていたのですが、主人が「やっぱりこの子かな、抱っこしてみたいな」と「空海」を膝に乗せました。それが、運命でしたね(笑)。その場で申し込みをすると、とんとん話が進み、すぐにトライアルが始まりました。

「空海」は生まれて数日で兄弟猫と一緒に保護され、団体でミルクを飲ませてもらい育ったこともあり、人にとても馴れていました。トライアルの初日に、自ら主人の膝に乗ってくつろいだりして。

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水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

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夫の驚き「猫、ツンじゃなかった!!」