筑波大の大石陽准教授

重要なのは質と量

 「良質」な睡眠が、健康維持には欠かせないと言われる。

 睡眠の機能が明らかになっていないため、どのような睡眠が「良質」かは明確ではないものの、睡眠には「質」と「量(時間)」の両方が重要だと考えられているという。

 睡眠中は、成長ホルモンが分泌される深い睡眠と、浅い睡眠を繰り返す。眠りについて1時間ほどで、起こそうとしてもなかなか起きない、最も深い睡眠に入る。

 睡眠時間が短いショートスリーパーにも深い睡眠の時間があることから、この時間が重要であることがうかがえるという。

「例えば、寝る直前に何かを食べたり、パソコンの画面を見るとよくないというのは、消化などにエネルギーを奪われたり、目に対する刺激によって、眠りが浅くなるから。十分な睡眠をとるには深い睡眠に干渉するような因子を避けるというのは、ある程度、合理的な話です」

 ちなみに、コーヒーや茶などに含まれるカフェインには、眠気覚ましの効果はあっても、睡眠の代わりにはならないという。

「カフェインは、睡眠作用のある脳内物質アデノシンをブロックすることで眠気を止めます。一時的な眠気解消にはなりますが、睡眠の効果はないでしょう」
 

 一方、睡眠不足で不健康にはなっても、逆に寝たいだけ寝ても健康を害することはないという。

「悪影響は、起きて活動する時間が減ることくらいではないでしょうか。結局のところ、主観で健康だと思える睡眠時間が一番いいと思います」

 実は筆者の妻は毎日3~4時間しか眠らない典型的なショートスリーパーである。結婚以来、「こんなに睡眠時間が短くて大丈夫か、早死にしないか」と思っていたが、杞憂だったようだ。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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