ジャニーズ事務所が10月2日に開いた記者会見で、指名しない記者などを記した「NGリスト」が作られていたことが明らかになった。そもそも「NGリスト」とはどんなもので、誰が作るのか。
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「会見時に運営スタッフが手にしていたファイルには、複数の記者の顔写真とともに『氏名候補記者、氏名NG記者』と書かれた文字が見えました。正しくは「指名」ですが、これを見た瞬間、どの質問者を指名するかしないかを事前に決めたリストだと思いました」(会見に参加したカメラマン)
NGリストとは何か。
国内大手PR会社でさまざまな記者会見の運営する担当者によると、“会見を開く招待状を送らない媒体やジャーナリストを記したリストのこと”だという。
PR会社が記者会見の運営を引き受けると、会場手配はもちろん、クライアントが記者からの質問に答えられるよう想定問答集を作るなど、全般にわたって細かくアドバイスを行う。
PR会社とメディアは持ちつ持たれつの関係なので、原則としてどのメディアとも良い関係を築きたい。だが、会見で出た発言を曲解したり、あらかじめ用意した結論に結び付けて報道する場合があるとして、一部メディアを警戒することがある。
「クライアントが不利益を負うことを防ぐために、要注意媒体や記者をリスト化したものがNGリストです」(大手PR会社の担当者)
リストに入れる対象は誰が選ぶのか。
「通常はクライアントから提案があります。事前の打ち合わせで、担当者から『この媒体やジャーナリストはOKだけど、こちらはNGでお願いします』と言われるのです」(同)
NGリストはどれくらいの頻度で作られるのだろうか。この担当者はこれまで多くの記者会見を運営した経験があるという。
「参加NGの媒体を設けるのは、経験的に2~3割程度でした。知名度の高いタレントや俳優が絡む場合が多く、過去に心証のよくない記事を書かれた場合など、事務所が会見参加をNGにするケースがありました」
記者会見に招待していないNGリストに含まれている担当者が会見場に来た場合は、クライアントの判断を仰ぐ。クライアントからOKが出れば、会場に入ってもらう。
「クライアントから会見参加はOKでも質問はNGにしてほしいと要望があれば、PR会社の危機管理担当なら、『会見の参加自体、認めないほうがいい』とアドバイスすると思う。今回のような会見では、招待する媒体を選別すること自体、批判につながる。そこで、参加に制限はかけず、厳しい質問を浴びせそうな記者に質問の機会を与えない手法を選んだのではないか」