「これは外せません。なぜかと言うと、今の日本人は魚の摂取量が少ない上、DHAやEPAの摂取量が少ないからです。これらを手軽に取るのにサバ缶は最適な食品なのです」

 最後は豆腐。木綿豆腐と絹ごし豆腐は硬さだけでなく、栄養価にも違いがあると知る人はそう多くないだろう。着眼点は製法の違いだ。木綿豆腐は大豆をゆでて絞った豆乳をにがり(凝固剤)で固めたものを型に入れ、圧力をかけて水分を搾り押し固めて作る。一方、絹ごし豆腐は、豆乳ににがりを加えてそのまま固める。水分を抜いて凝縮して作る木綿豆腐は、たんぱく質やカルシウムなどの大豆本来の栄養素が多く含まれ、絹ごし豆腐に比べて全体的に少しずつ栄養価が高い。反対に水分量が多い絹ごし豆腐は、栄養価はやや下がるが、カロリーが低く、カリウムが多いのが特徴という。

「栄養面での大きな差はありませんが、より多く栄養素を含んでいるという点では、木綿豆腐のほうが、少しだけ健康コスパが高いといえます」(浅野さん)

 コロナ禍による環境の変化などで健康意識が高まっている今だからこそ、同じ価格や似たような食品ならできるだけカラダに良いものを選びたいというニーズも高まっている。浅野さんはそう考え、健康コスパを提唱した。

 自分にとってベストな食品とは何か。効率だけではない、日々の選択の積み重ねがものを言う。健康は一日にして成らず。肝に銘じたい。(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年10月9日号

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