写真:古舘プロジェクト提供

 少なくとも僕みたいなゆがんだ(笑)お喋りになろうと思う前に自分なりに悩み、ありのまま、不完全な自分を認めつつ、伝えたいという気持ちをもって話すのがいいと思います。僕は論破が嫌いだから。世の中、いつも正しいことばかりじゃない。正しいことばかりを主張してヘイトスピーチをやるよりも、ライトグレーで僕は行きたい。

感謝と鎮魂の祈り込め

―1970年代後半から80年代にかけ、一大ブームを巻き起こしたプロレス中継で喜怒哀楽をともにした、尊敬するプロレスラーのアントニオ猪木さん(享年79)が亡くなって間もなく1年になる。

 胸に、期する思いがある。

古舘:亡くなる4日前、僕は猪木さんに会いに行きました。その時、猪木さんは絞り出すかのように小さな声で僕に言ったんです。「馬鹿の一本道」って。彼が最後に自分を表現したであろう、その一言が忘れられません。猪木さんへの感謝の思いと鎮魂の祈りを込めて、私はずっと「喋り馬鹿」でいようと思っています。たとえ歩けなくなり、車椅子になっても壇上に上がり、口と脳が回り続ける限りは全身で奏でるトーキングブルースを続けるつもりです。まさに、「トーキングブルースの一本道」です。(構成/ライター・大崎百紀)

AERA 2023年10月2日号

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