人気絶頂の21歳ごろの後藤久美子

「今回出演するドラマ『顔』は松本清張作品ですが、『黒革の手帳』で悪女を演じた米倉さんや武井さんなど、松本清張作品の“悪女もの”には俳優を輝かせる力があります。悪女を演じると、女のしたたかさや強さといった側面も自然と演じることになり、従来のイメージからの脱却につながることも多い。結果、松本作品を契機に本格派へとステップアップした俳優も少なくありません。若手ではないですが、後藤さんもこの作品を機に世間のイメージが変われば、今後映画やドラマで起用されることが増えるかもしれません」

 芸能評論家の三杉武氏は後藤についてこう述べる。

「1980年代末に国民的美少女として絶大な人気を集めた後藤さんですが、“美少女”という型には収まらない自己主張や自由奔放な発言は当時“ゴクミ語録”として注目を集めました。その後のジャン・アレジさんとの恋愛や海外での生活といった私生活を見ても、強い自立心やたくましさを感じさせますし、わが道を行くその生きざまに憧れを抱く人も少なくないはずです。歳を重ねても変わらぬ美貌に加えて、テレビがまだ元気だった時代に最前線で活躍していた方なので、昨今の親近感を売り物にした好感度タレントにはないスター性も健在ですし、レア感もある。久々のドラマ復帰に対する注目度は高そうです。一部では演技力に疑問の声もありますが、個人的には今回のドラマでどんな演技を見せてくれるのか楽しみの方が強いですね」

 これまでのイメージを覆すような演技を見せつけることができるのか、期待が高まる。(雛里美和)

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雛里美和

雛里美和

ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。

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