「男はつらいよ」の新作映画制作会見に臨む後藤久美子(2018年)

 俳優としてこれからという21歳のとき、ジャン・アレジとの交際を開始し、のちに正式に結婚。海外に拠点を移し、わが道を行くスタイルを貫いてきた。芸能活動は休業状態となり、時々、写真週刊誌にセレブ生活が掲載されるくらいで、表立った活動はしてこなかった。俳優としては、2019年の「男はつらいよ お帰り寅さん」で、山田洋次監督たっての願いで23年ぶりの銀幕カムバックを果たしたのみだ。

 では、なぜこのタイミングでドラマの主演を引き受けたのか。週刊誌の芸能担当記者は言う。

「17年に娘のエレナさんが日本で芸能界デビューしましたが、華々しい活動には結びついていません。また、父の背を追ってF1ドライバーを目指した長男のジュリアーノさんも、所属していたフェラーリのアカデミーから成績不振で解雇され、拠点を日本に移してレーシングドライバーを続けています。子どもたちの状況を考えると、いよいよ自分が一肌脱ぐしかない、という状況になってきたのかもしれません。また、古巣のオスカープロモーションは、米倉涼子さんや草刈民代さん、剛力彩芽さんなど看板女優が相次いで退所し、スタッフも入れ替わるなど、ここ数年はあまり明るい話題がない。後藤さんは“生涯オスカー所属宣言”をしたと言われるほどなので、古巣の状況を見かねて今回の電撃復帰につながったのかもしれません」

“悪女”でイメージを刷新?

 話題性は十分だが、後藤はお世辞にも演技力のある俳優とは言えない。人気絶頂にあった時代ですら、その演技には疑問符が付きまとっていた。23年ぶりの復帰となった「寅さん」も、久々の演技ということもあってか、硬さがぬぐえないとの評価もある。だが、さる脚本家はこう期待を寄せる。

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好感度タレントにはないスター性