タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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「女性ならでは」の何がいけないのでしょう? 岸田首相の「(女性閣僚は)女性ならではの感性や共感力を生かして」ほしいという言葉はどうして批判されたのでしょうか。女性をほめているのだし、揚げ足取りではないかと感じた人もいるようです。首相の言葉に怒る人たちは男女の違いを全て否定するのか? 多様性を尊重して、男性とは異なる感性を持つ人を仲間に入れてあげたんじゃないか、と。
すでに多くの指摘があるように、首相の言葉は、たとえ全く悪気がなくても女性に対する無意識の偏見を露呈し、助長する発言です。女性という性別は独自の感性を持つという決めつけは、男女は脳の作りが違うから思考や行動が異なるという非科学的な性差別(ニューロセクシズム)にも通底します。