「女性ならでは」発言の背景にある“偏見”をなくしていくことは、日本社会の急務だ

 女性閣僚を増やすのは、人口比と同じように女性の閣僚の割合と男性の閣僚の割合を同じにするために必要なことです。感性を生かすためではなく、人権の観点から不可欠なのです。国際比較で、日本は国会議員をはじめとした社会の意思決定層に占める女性の割合が極端に低いことが問題視されています。同様の取り組みは世界中で行われており、変化は日本よりも遥かに急速に進んでいます。「今は性別ではなく能力で選ぶべき時代」と語った野党幹部もいますが、それは男女格差ゼロを達成した後に言うべきことです。現在の男女格差を無視し放置する物言いに驚きを禁じ得ません。

 過去に複数の大学の医学部入試で女性の受験生が不利になるよう不正な点数操作が行われていたことが判明したように、日本では進学、雇用、賃金、昇進などさまざまな面で男性の方が有利であるとわかっています。女性を褒めて花形に祭り上げるのではなく、男女格差をなくすために目に見える形でルールを変え、構造を変えることが急務です。

AERA 2023年10月2日号

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