「任されたのは、『京都府南部の高校をすべてまわって、中退しそうだったり、卒業後に働かなさそうな子どもを支援センターに連れて来る』という仕事でした。しかし、入社して2カ月後に上司がメンタルダウンを起こし、いきなり僕が事業の責任者になったんです。『ここは普通の会社ではない』と思いつつ、周囲が助けてくれたこともあり、仕事はそれなりにうまくいきました。ただ、現場を理解してくれない経営側と対立することもありました。そうした経緯もあり、同業者の紹介で、大阪の引きこもり支援の事業者に転職しました」
難病の父が自宅で個人塾を開いた結果、中学生のころから子どもたちに勉強を教えていた竹中さん。人生の中で自然に培われたスキルは、支援の仕事に合ってはいたが、自身としては、”向いている”とは思えなかったという。
「自分は、人の気持ちをあまり気にせず、結構ズバズバ言ってしまう人間だと思っています。また、なじめるコミュニティーとなじめないコミュニティーの差が大きく、その性格が前職での退職にも結びついてしまいました。『うまく言えないけれど、自分は他の人と少し違うな』という感覚が、確信に変わってきたころでした」
だからこそ、自分について一度きちんと調べてみようと考え、知能検査(WAIS-Ⅳ)を受けることにした。「自分は能力が低くて困ってるのか? 低いなら、どんな能力なのか?」を知りたかった。職場で交流のある心理士にも「もし発達の偏りがあれば教えてね」と言われていた。結果は、「IQ132」。大きな衝撃だった。