2005年以来18年ぶりのリーグ制覇も目前となった阪神。過去のV決定直後には、新聞の社会面でも大きく取り上げられたさまざまな珍騒動が起きている。阪神が優勝した年にどんな出来事があったかを振り返ってみよう。
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2リーグ制以降、阪神が初めて優勝したのは、1962年。シーズン最終戦となった10月3日の広島戦で、エース・小山正明が3安打完封勝利を挙げ、1リーグ時代の47年以来、15年ぶりの優勝を決めた。
6対0で試合終了とともにスタンドのファンが一斉にグラウンドになだれ込み、選手もファンも区別のつかない状態で、藤本定義監督の胴上げが始まった。
敗れた広島ナインは、表彰式に出るためにベンチで待機していたが、ダイヤモンド周辺に数百人のファンが座り込む混乱状態を前に参列をあきらめ、引き揚げていった。
表彰式が始まっても、約2000人のファンがグラウンドに居残っていたため、表彰後、トロフィーを先頭に場内一周の行進をする予定だった阪神ナインは、やむを得ず規模を縮小し、内野を一周するだけにとどめた。
それでも、藤本監督は「コーチ、選手たちがよくやってくれたことはもちろんだが、力強いファンの声援がなければ、とても優勝はできなかった」とファンに感謝の言葉を贈っており、昭和30年代ならではの大らかさが感じられる。
2年後の64年も、終盤の8連勝で首位・大洋を大逆転し、9月30日の中日戦でリーグ優勝を決めた直後、多数のファンがグラウンドに乱入し、監督や選手を次々に胴上げする“珍光景”が再び見られた。
その後、巨人のV9時代に突入し、長く優勝から遠ざかっていた阪神は、85年にランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布の強力クリーンアップを軸とする猛虎打線が爆発。21年ぶりの優勝を実現する。
引き分けでもV決定となる10月16日、神宮球場でのヤクルト戦を5対5と引き分け、待ちに待った優勝が決まると、地元・大阪はたちまち熱狂の渦に包まれた。