とはいえ、ジャニーズのアイドルグループがメディア側の忖度だけで人気をつくりあげたわけでは、もちろんない。メンバー個々の才能、努力に加えて、事務所がタレントを売り出していくスキルが著しく高いことはまぎれもない事実だ。
「東京ドームを5万人の観客で埋め尽くせるのは、ジャニーズのタレントでないとなかなかできないでしょう。ジャニーズは東京ドームをはじめとして、主だった大型会場を前もって押さえている。そして、最も効果的なタイミングで所属グループの公演に振り分けます。Snow Man、SixTONESなどの人気のユニットを多く抱えているからこそ、効果的に振り分けて埋めることができる。サプライズ演出の方法も非常にうまいなと感心します。タレントの売り出し方、人気の持続のさせ方はやはり一日の長があります。『ジャニーズ以外』の男性グループが出てきたとしても、それほどの集客力のあるグループが果たしているのかは疑問です」(アイドルに詳しい音楽評論家)
では、今後は歌って踊れる男性グループの勢力図はどう変わっていくのだろうか。前出の音楽評論家はこう推察する。
「『ジャニーズ以外』の男性グループにとってはチャンスが広がるでしょうね。メディアも今までのようにジャニーズに過剰な忖度をするのは控えるでしょうし、『共演NG』などは極端に少なくなるはずです。そのうえで、ナベプロ(ワタナベエンターテインメント)は昔も男性ユニットを輩出した実績があるので、再び動きだす可能性はあります。あとはホリプロ、吉本興業、エイベックスあたりは狙ってくるかもしれません。ただし、既存の大手プロダクションに所属しているからといって、若者に共感が得られるとは限らない。今の若者はテレビを見ないので、SNSやTikTok、YouTube、インスタライブなどで人気に火が付くことが大事。アイドルのオーディションも、テレビではなく、SNSでいいんです。トークも歌も上手で数字が稼げたら、テレビ局も手っとり早く新人を発掘できるわけですから。これからはプロもアマも関係ない、下克上の戦国時代のような世界になるような気がします」
男性アイドルグループの勢力図が塗り替えられる日は来るか。
(AERA dot.編集部・上田耕司)