でも、アメリカが台湾を見捨てるというシナリオも十分に蓋然性がありますから、その場合に東アジアがどうなるかも考えておいた方がいい。「Foreign Affairs」の少し前の記事に、アメリカが台湾を見捨てた場合に、日本と韓国はアメリカに不信感を抱くよりもむしろ対中国の危機感を募らせて、よりアメリカにすり寄って来るという予測が書かれていました。だから、日本と韓国については心配しなくていい、と。ひどいことを書くと思いましたけれど、僕はアメリカが台湾を見捨てた場合に日本国民の対米感情は一気にネガティブな方向に振れる可能性はあると思います。
アメリカは当てにできないとなると、頼みになるパートナーは韓国しかありません。日韓は人種も宗教も文化も非常に近い。米中と「等距離外交」を展開するとなると、日本単独でやるよりは日韓が歩調を揃えた方がはるかに効果的です。韓国の尹錫悦大統領が徴用工問題を和解の方向に持ち込み、日韓関係の修復に前向きなのは、アメリカが没落し、中国が進出している今の西太平洋では、日本と組んで共同防衛のかたちを作ることが国防上有効と判断して、反日的な国内世論を抑え込んでも日本と接近しておくという戦略の瀬踏みをしているのだと僕は思います。