天皇ご一家が8月から、静養のために4年ぶりに入られた那須御用邸(栃木県那須町)。那須連山のふもとにあり、報道公開された映像などから緑豊かで、涼しげな場所というイメージがある。しかし、ご一家が滞在する施設は「安全のために建て替えを」と署名活動が起きたほど、老朽化が心配されている。
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「窓の枠は木製。まるで昭和初期の木造校舎の小学校のようだと感じました。これが日本の象徴の方が滞在する建物なのかと驚きました」
そう口にするのは、那須御用邸に出入りしたことのある地元の男性だ。
天皇ご一家が滞在する那須御用邸の敷地内には、1926(大正15)年に当時皇太子だった昭和天皇の静養のために建設された「本邸」と、昭和天皇がお子さま方のために1935年に建てた「附属邸」、休憩所である「嚶鳴亭(おうめいてい)」がある。昭和天皇の生物研究の拠点としての機能も備えた設計だったとされる。
そして現在、本邸は築100年近く、附属邸も築80年を超えているのだ。
平成の時代に侍従として天皇ご一家に仕え、駐チュニジア、駐ラトビア特命全権大使などを歴任した中京大学の多賀敏行・客員教授は、平成の前半のころに、上皇さまの侍従として那須御用邸の附属邸に滞在した経験がある。
「附属邸は和風の造りで、ふすまがいくつも続く、長い廊下がある古い建物です。建物は豪華でもなく、まさに古い木造の小学校といった雰囲気。もちろんエアコンもありませんでした。それでも那須は涼しいので、当時は扇風機も必要ありませんでした。」