
皇后雅子さまも、今年の記者とのやり取りの中で、
「東京から来ると涼しいですね」
と、笑顔で述べていた。
しかし、地元の住民はこんな懸念を打ち明ける。
「皇后さまがおっしゃる通り、那須は涼しく、確かに過ごしやすい。しかし、湿度が高いこの地域では、建物の痛み方が他の地域よりも激しくなる。地元の人間の多くは心配しています」
地元では老朽化した建物に対する不安の声があがり、那須地域の農家でつくる「那須嚶鳴(おうめい)会」が中心となって、2017年ごろから建て替えを求める署名運動が始まった。コロナ禍の期間をはさみ、5万人を超える署名が集まったという。
しかし、地元自治体を通じて内々に、署名を受け取ってほしいと相談を受けた宮内庁の職員は、申し訳ないといったふうに口ごもり、「こうしたものは受け取ることができないのです」と答えたという。
結局、署名の提出先が決まらず、宙ぶらりんの状態となっているのだという。
女官はハエ取りリボンを使い
筆者が8月下旬、宮内庁に御用邸の老朽化の状況と改修工事について質問を出したが、
「天皇陛下始め皇室の方々が御静養のためにお使いになられる御用邸については、快適にお過ごしいただけるよう心掛けており、適宜必要最小限の改修を行っております」
という回答が返ってきたのみだった。