また、戦後すぐまでは姦通罪がありました。結婚している女性の浮気に関しては刑事罰(浮気相手の男性も同罪)が科される一方で、結婚している男性の浮気は、相手が結婚していない女性であれば売買春を含めて「当たり前」だったのです。

 未婚女性は何らかの手段で生活していかなければなりません。その意味では自立している女性が少ない以上、明治から戦前までの未婚女性にとって男性の浮気というのは、ほとんどが自立して生活していくための売買春か、生活の面倒を見てもらう第二夫人以下になるためのものかという二つの行為とイコールだったのです。

 要するに男性の浮気は社会的に非難されるものではなく、この二つ以外のケースは小説や新聞ざたにもなる稀な出来事だったと言えるでしょう。

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