跡取りの長女は、次男以下の男性を婿に取らなければなりません。つまり、婿をむかえなければいけないということが運命づけられていました。跡取りの長女以外の女性は、誰と結婚しても取りあえず自由は自由なのだけれども、自分の親と同じ程度の家柄のイエに嫁として行くのが通常でした。
ただ跡取りの長女以外の女性は、自分よりも上の家柄に嫁ぐ「上昇婚」も可能なのです。とはいえ、裕福なイエの本妻になる可能性もあれば、お金持ちの第二、第三夫人になる可能性もあれば、結婚せずに親元に留まる可能性もあります。その意味では、男性よりもチャンスとリスクにさらされる立場であったことは確かでしょう。
結婚のプロセスとしては、イエ同士で決めた「取り決め」で相手と会わずに結婚するケースもあれば、実際に会ってから結婚するケースもあり、自分で選ぶというケースもそれなりにあるといったぐあいに多様でした。
階層ごとに特徴はありましたが、先にも述べた通り、最終的には親や地域の仲間が承認するという前提のもとに結婚します。つまり、親の家柄によってふさわしいかふさわしくないかが決定されました。
そして、ふさわしくない結婚に対しては、「村八分」や「勘当」といったサンクション(社会的制裁)がありました。親からの最大の制裁は、小説などによく描かれているように、家業を継げなくなって経済的に立ちいかなくなる「勘当」でしょう。