日本政府は、日本の畑で取れたものは自給されたものという考え方をもとに食料自給率38%と言っています。しかし、その畑にまいた種と肥料はどこからきたか。あるいはビニールハウスで何かを栽培する際には灯油をたいて温めます。その灯油はどこからきたか。そういう具合に食料生産における海外依存度を厳密に見ていくと、日本の食料自給率は10%に届かないくらいになるわけです。
我々が生きている基盤はきわめて脆弱であるというのが鈴木先生の話で、実に勉強になります。農水省もそれはわかっていて、一応シナリオのようなものを想定しています。純粋に日本の国土内でできるものだけで日本人が食いつなぐ事態になったら、全部の田畑にイモを植えて、3食イモを食えと(笑)。そういう恐ろしいレポートを出しています。
内田:食料自給は「国民生活を守る」という目標からすれば、基本中の基本のはずです。それさえやる気がない。政府は「本当に戦争が起きたら」というシナリオについて何も検討をしていないということです。原発だって、また次々稼働しようとしている。政府は「戦争だ」と煽れば、自分たちに利益をもたらす政策が抵抗なく実現できるから、その言い訳に「戦争」を利用しているだけです。こういう戦争をなめた態度を取っていると、そのうちに手痛い目に遭いますよ。