ワクワクすることにお金を使いながら、理想の100歳を迎えるために、資産を形成するにはどうすればいいのか。

「稼ぐ」は資産形成の基本。さらに、稼いだお金は「残ったら貯める」のではなく、貯めるべきお金を先取りする「先取貯蓄」で貯めていくのが鉄板だ。勤務先の「財形(財産形成貯蓄制度)」や、金融機関の積立定期、ネット銀行などの定額自動入金サービスなどが先取貯蓄の代表例。現役世代なら、終身保険や学資保険で備えながら貯めるという方法もある。

 あらゆるものの値上がりが続く昨今、「増やす」ときに注意したいのは、生活費が年々かさんでいくこと。インフレが2%、3%と進んでいくと仮定すれば、せめてその分は増やしていかないと、資産は目減りしてしまう。今は預貯金の金利ではとても追いつかない。目減りしないように投資をするのであれば、まずは非課税枠のある「iDeCo」「NISA」を使った資産運用をお勧めする。

 稼いで貯めて増やしたら、いよいよ「使う」。一定の年齢に達したら、誰もが貯めるフェーズから使うフェーズへと移っていくのだが、問題は、多くの人が「使う」ことに不安を抱いているということだ。その不安を払しょくするために、鈴木さんは「自分を知ること」の重要性を説く。

 まずは総資産を把握し、毎月の収支、年間の収支をはっきりさせる。これには、家計簿アプリが便利。鈴木さん自身、家計簿アプリを見るのが毎朝のルーティーンになっている。

 総資産や収支が明らかになったところで、もう一つ。自分と家族の未来において、いつ、どれくらいのお金がかかるのかを可視化するために、100歳までの「キャッシュフロー表」を作ってほしい。

 収入は厳しめ(少なめ)に、手取り額で入れる。現時点での年間収支は実際と合わせて。インフレを考慮して、生活費は年に1~2%ほど増やしていく。価値観ややりたいこと、お金の使い方は変わるので、年に一度は作り直すのが現実的だ。「キャッシュフロー表」は、日本FP協会のサイトからダウンロード可能。鈴木さんもこれを使い、毎年、正月に作り直している。

「積立金額は徐々に減らしていいんです。使うフェーズに入ればお金は減っていきますが、これだけ使っていい、ということがわかります。一度作れば、先行きが見えない不安、闇の不安がなくなりますよ」(鈴木さん)

手取り収入の使い道は多くの場合こんな感じ。「使っていい金額」は余剰資金の範囲内て決めておくと安心だ

 もちろん、人生に必要なのはお金だけではない。講座の最後に、鈴木さんはこう呼びかけた。

「もしあなたが夫婦なら、どちらか1人ではなく2人とも、自活力をつけておきたいですよね。『何かやることある?』『ありがとう』と声をかけ合いながら名もなき家事に取り組んで、お金という有形資産と共に、愛情という無形資産も増やしていってください」

(構成 生活・文化編集部 上原千穂)

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