小学校入学から大学卒業までオール私立の場合、「とにかくお金がかかる」というのが率直なイメージだろう。昨今増えている海外留学まで見据えるとさらに多額の費用が必要になる。それでもわが子を私立に通わせるにはどうしたらいいのか? 学費を捻出する方法を、教育費に詳しいファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに聞いた。「英語に強くなる小学校選び 2018」(朝日新聞出版)より抜粋してお届けする。

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 文部科学省「子供の学習費調査」(2014年度)によると私立小学校の教育にかかる費用の総額は921万5345円、私立中学は401万7303円、私立高校は297万3792円。さらに海外(オーストラリア)の大学に4年間留学するとしたら1315万8560円がかかり、小学校受験にかかる費用まで合わせると、合計は3000万円を超える計算になる。

 夫婦と受験前の6歳の子どもが1人という3人家族の場合、鈴木さんのシミュレーションによると、子どもが私立小中高を経て海外(オーストラリア)の大学を卒業した場合、世帯年収が手取り900万円あったとしても、子どもの独立時に預貯金が500万円を切る心もとない状況になるという。

 しかし、教育方針に共感する私立小に子どもを通わせたいと希望するなら「最初から諦めないでほしい」と、鈴木さん。まずは家計を見直し、改善することから、と説く。
 
 学費の元手となる預貯金など金融資産を増やすには、「支出を減らす」か「収入を増やす」のどちらかだ。

「支出を減らすには無駄遣いをせず、節約することが大切ですが、子どもの学費のためという目的なので教育関係の支出を削らないのが精神的にも長続きできるポイントです。通信費など、工夫次第で縮小できる固定費を削るのが有効です。収入を増やすには、妻が専業主婦なら働きに出る、運用で資産を増やすという方法があります」

 共働きにはハードルが高いといわれてきた私立小だが、最近はアフタースクールを設置するなど、共働きを支援する学校も増えてきた。たとえば今、世帯の年間収入が夫の500万円のみだったとしても、「妻が働いて年間400万円稼げば、私立小から海外の大学卒業も夢ではなくなる」と鈴木さんは語る。

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上田千春
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