夏の風物詩である花火だが、公園や児童遊園など「おもちゃ花火」が許可されていた場所が、大騒ぎやルール違反への苦情が続いたため、禁止となるケースが相次いでいる。「やりたいのに、できる場所がない」と、花火の製造業者にはそんな切実な声も届くそう。大人がはしゃぎ過ぎた結果、大人だけではなく子どもたちまでもが花火をする場所を失い、どんどんつまらない社会ができあがる。これでいいのか。
子どものころは道路や公園などさまざまな場所で、手持ちやロケット、噴出型などの「おもちゃ花火」を楽しんだ記憶がある。花火を手にはしゃぐ親子の姿は、夏休みに当たり前にみられる光景だった。
だが時代は変わり、特に都会では花火ができる場所は限られるようになったうえに、苦情が寄せられて続々と禁止の措置が取られている。
苦情相次ぎ禁止の流れに
東京都江戸川区は、区立公園での花火について、手持ち花火に限って原則許可してきた。だが近年、ルール違反となるロケット花火や大騒ぎへの苦情が続き、約500カ所ある公園のうち、1割程度で花火を禁止にしたという。
区の担当者は「我々だって禁止にしたくはありません。ルールやマナーを守って楽しんでいただけたら何も問題はないのですが、大人なのに配慮してくれない方がいて、そうせざるを得なかったのです」と複雑な思いを口にする。
隣接する葛飾区も、一部を除いた区立公園で手持ち花火を許可しており、花火ができる場所を探す区外の人からの問い合わせも多い。だが、こちらもルール違反やマナーの問題が発生し、ここ数年で300ある公園のうち約15か所について、花火禁止とした。