子どもたちの性被害を防ぐ活動に取り組む小児科医の今西洋介さんも日本版DBSについて、「塾や習い事も義務化しないと意味がない」と強く訴える。
今西さんによると、塾や習い事のスクールなどは「教室など、密室になりやすい」「力関係が存在する」など、子どもへの性加害が起きやすい環境にある。
また、子どもへの性加害者は、規制の抜け穴を探す術にたけている。再犯率が高いのも特徴だ。
「教員や保育士がダメになったから、塾講師や習い事の先生に転職する。それでは子どもは守れません。この問題では加害者側の『職業選択の自由』が議論になりますが、加害者の人権と、子どもや性被害者の人権をてんびんにかけた場合、加害者の人権に偏重してしまっています。日本には子どもを守る仕組みがないのです」(今西さん)
加害者は証拠不十分で不起訴になるケースが多い一方で、子どもは被害者として扱われず被害時にケアを受けられないという現実がある。
今西さんは支援団体と協力して、子どもの性被害に特化した性暴力支援センターの設立を目指している。子どもの性被害に対応するには、専門知識が必要となるためだ。アメリカでは同様の施設が約900あるが、日本には2カ所しかない。子どもを守る仕組みづくりは急務である。