チームメイトとて、勝利への執念は同じだ。クラーク国際戦の4回表には、イニングの先頭打者が放った右中間への大飛球を右翼手の久慈颯大が飛び込んで好捕。1時間34分の雨天中断直後の8回表の守備でも、左翼手の北條慎治が後方への大飛球を好捕してチームを救った。投げては、中断明けから登板した中屋敷祐介が強心臓で点を許さない。智弁学園戦でも、2回裏には久慈が、7回裏には中堅手の廣内駿汰が、ともに攻めの守りでダイビングキャッチ。8回裏には、中前へのヒット性の打球を遊撃手の熊谷陸が執念でさばく。
「一球に食らいつきながら、守り勝つ野球が理想」
主将の千葉がそう話すように、随所で光る好守は花巻東の真骨頂であり、そこには選手全員の「勝ち」への強い思いが映し出されている。佐々木麟太郎は言う。
「一戦必勝で戦ってきたのが我々のスタイルです」
2013年以来、10年ぶりとなる8強進出。花巻東の夏は、終わらない。
佐々木亨
1974年岩手県生まれ。スポーツライター。
※AERAオンライン限定記事