先の大戦中に戦地で亡くなった身元不明の戦没者らを慰霊する千鳥ケ淵戦没者墓苑での秋季慰霊祭や拝礼式などは秋篠宮ご夫妻が引き継ぎ、今年は初めて次女・佳子さまが5月の拝礼式へ参列した。
出席した遺族からは、佳子さまが「祈り」を引き継ぐことに「嬉しい」といった感想が漏れた。一方で献花もなく、黙礼をして10分ほどで退場する流れに、さみしさを感じた遺族もいた。
そして8月15日の「終戦の日」の全国戦没者追悼式に出席した天皇陛下と皇后雅子さまも、戦争の実体験がない世代だ。
式典で、父親がソロモン諸島で戦死した尾辻秀久参議院議長は「参議院議長として、遺族の一人として、ここに立たせていただく」と前置きして、
「私たちは焼け野原の中、おなかを空かせて大きくなりました。一度でいいからおなかいっぱいご飯を食べたいと思っていました」
「私たちは、生きるか死ぬかという中を肩を寄せ合って生き抜いて参りました」
そう、自身の体験を交えながら追悼の辞を読み上げた。
中国で父親が戦死した遺族代表の横田輝雄さんは、ロシアによるウクライナ侵攻に触れ、こう訴えた。
「現地の惨状を目の当たりにするにつけ、かつての戦争を思い出さずにはいられません」
遺族たちが標柱の前に立つたびに、天皇陛下はクルリと体を向けて、追悼の辞に耳を傾けた。雅子さまも標柱と遺族らを見つめていた。この日、愛子さまも御所で黙とうを捧げていた。