「慰霊の旅」は終わっていない
2年後には、戦後80年の節目を迎える。戦争の悲惨さを知る世代が表舞台から去り、次世代への歴史の継承は大きな課題となっている。
先の河西准教授は、皇室の「慰霊の旅」はまだ終わっていない、と話す。
「戦争を肌で知らない皇室の方々が、慰霊に向き合うのは難しいことです。戦争の犠牲者の魂と平和の希求のために祈りを捧げるとき、それが『儀式をなぞる作業になっていないだろうか』『内実を伴うものになっているだろうか』と、常に自問をする覚悟が必要だと思います。
戦争を知らない天皇、そして皇后、皇族方が慰霊を行う意味とは何か。それは、皇室自身、そして私たちが考えなければならない課題ではないでしょうか」
(AERA dot.編集部・永井貴子)