そして、根気良く会話の場を持ったあと、彼らが練習に対する考えを改め、ひとつひとつのプレーの大切さを自覚するようになると、復帰を許した。
その後、夏を最後に三原監督が勇退することを知ったナインは「監督を甲子園に連れていこう」と心をひとつにして目標を達成したばかりでなく、甲子園でも「2勝できれば十分」だったチームが、準優勝を成し遂げた。決勝では夏連覇の駒大苫小牧に敗れたものの、三原監督自ら「最高の夏だった」と評したように、同年の京都外大西の快進撃は、まさにマジックだった。
取手二、常総学院の両校で全国制覇を実現した木内幸男監督の“木内マジック”もそうだが、マジックとは“以心伝心”が基本であることを実感させられる。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。
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