承認されても残る課題
そうなると、日本での承認も待ち望まれる。エーザイが今年1月に申請した薬事承認は、今月21日の厚労省の専門家部会で了承された。今後、保険適用にあたっての薬価などが決められた後、医療現場で使われるようになる。
だが、レカネマブの使用には課題が残っている。
東京・日本橋で認知症治療をしているシニアメンタルクリニック日本橋人形町の院長、井関栄三さんは「アルツハイマー病の治療にとって、画期的な新薬の登場は望ましいことですが、レカネマブは希望する人の皆が治療を受けられる夢の新薬ではありません。課題の一つが費用の問題、もう一つが投与法の問題です」と話す。
レカネマブによる治療は、軽度認知障害と軽度アルツハイマー病の人が対象になる。まず、専門医による正確な診断が必要で、そのうえで、アミロイドPET検査で脳内にアミロイドの蓄積を確認することが前提となる。
現時点でこの検査には自費診療で30万円ほどかかるという。アミロイドPET検査を実施できる医療機関は少なく、一般の医療機関ではどのように実施するのか、という点もクリアすべき問題となる。
また、レカネマブが保険診療になっても、患者の自己負担額はかなり大きくなるので、これを負担できる患者は限られてくることが予想される。