ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫のジジちゃんとゴンタくんです。
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隣家の猫3匹のうち、黒猫ジジ(雌、12歳)とサバトラのゴンタ(雄、12歳)はいつもベランダから私を見下ろしていた。名前を呼ぶと、しっぽを軽く振って返事を返す。
2匹はやがて毎日遊びに来るようになった。ある夏の晩、帰宅すると2匹は私のベッドで寝ていた、しかもへそ天で。勝手に網戸を開けて2階のベランダから侵入し、くつろいでいたのだ。
10年前のその日からわが家の住人となった彼らはいつも私を見つめ、台所、トイレ、風呂場へいそいそとついてくる。
私が外出するとついてきて、庭で日を浴び、毛づくろいをしたり行き交う人々を観察したりする。私の帰宅とともに一緒に家へ入る。
ゴンタは活発で、助走をつけて私が寝ている上に飛び乗る。玄関のチャイムが鳴ると一目散に走っていき、訪問客をおもてなしする。世渡りのうまい奴(やつ)なんだな。
一方で、野良猫と喧嘩(けんか)をしては負け、動物病院へ運ばれる。なんの反省もない瞳をして。
黒猫のジジは賢くておとなしめだが、夏にトカゲ、こうもり、セミを捕まえ私に差し出す。「あげる! ほめてよ」と目を輝かせ、ドヤ顔だ。
ある日帰宅したら2匹の姿がない! こういう時は、猫が熱狂するおやつの封を切る。すると、くつろいでいた押し入れから飛び出してくるジジ。ゴンタは階下からすごい速さで階段を駆け上ってきて、一目散におやつにしがみついた。お見事! しかも私は眼中にない。
休日は3人で近所を散策するのだが、列を外れずリーダーである私にちゃんとついてくる。まるでリードのない犬のように。こんな日常を大切にしたい。(三重県伊賀市/59歳/会社員)
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※週刊朝日 2023年3月31日号